アニメだけじゃない!昔から日本にいた妖怪の伝説を紹介!

神話に出てくるヤマタノオロチは八つの頭と胴体をもつ元は神様?

妖怪と言ってもいろいろあります。その定義は難しく、簡単に言えば、人間には理解できない異常な現象や力、またはその存在になります。その中には幽霊も含まれていたり、神様と隣り合わせで考えられたり、いろいろと難しい所はあります。

そもそも妖怪は1000年以上も昔からその存在が記録に残っており形態も様々、変貌を遂げている場合もあり、ひとくくりには説明できない部分があります。妖怪として語られることが多いカッパや鬼も、地域によっては神様として祀られていることがあります。

日本の最古の歴史書である古事記や日本書紀に記録されている神話の中に出てくるヤマタノオロチ(八俣遠呂智・八岐大蛇)も、それこそ神様として祀られ恐れられていたのですが、スサノオノミコト(須佐之男命・素戔鳴尊)に妖怪として退治されています。

ヤマタノオロチも、さきのカッパや鬼のように神様←→妖怪と変わっていったものの一つになるのです。

神話として伝わっている話としては、高天原を追われたスサノオノミコトは、出雲国(島根県)の肥河(今の斐伊川)の上流の鳥髪という地(今の船通山の辺り)を訪れ泣いている老夫婦に出会います。

そこで、娘のクシナダヒメ(櫛名田比売・奇稲田姫)をヤマタノオロチに差し出さなければいけない事を知り、クシナダヒメを嫁にもらう代わりにヤマタノオロチを退治する約束をします。スサノオノミコトは、ヤマタノオロチに酒を飲ませて寝ているスキに倒します。

倒したヤマタノオロチの体の中から出てきた剣、アマノムラクモノツルギ(天叢雲剣)は、アマテラスオオミカミ(天照大神)に献上されました。

ここで出てくるヤマタノオロチは、最初は恐ろしい災いをもたらす荒ぶる神様だったのですが、スサノオノミコトに退治される時には、その土地に害をなす妖怪として退治されるのです。話として、日本最古の妖怪退治の話になるのです。

ヤマタノオロチの容姿は、記録によると胴体が一つなのに頭は八つで尾も八つ、眼は真っ赤で体にはコケだけでなく檜や杉が生えている。腹はいつも血が滲んでただれ、八つの谷と八つの山にまたがるほどの長さを持つ大きな蛇となっています。

確かに見た目は、神様というよりも妖怪と言っても過言ではないほどに恐ろしい姿と言えます。

現実的な解釈としては、斐伊川がヤマタノオロチを表しているのではないか、クシナダヒメはその地域の田んぼを意味し、川の氾濫が田んぼを襲っていたことを表現しているのではないかという考えがあります。

ヤマタノオロチの体から剣がでてくるのも、その土地がたたら場として製鉄産業が発達し、その作業に必要な木々を伐採したことから川が氾濫、田畑が被害をこうむったのではないか、と言われています。

ただ、スサノオノミコトの神話としてはこれで終わるのですが、ヤマタノオロチは別の場で登場してきます。というのは、鬼として有名な酒吞童子の話で、このヤマタノオロチのその後とも言える人物(?)が出てきます。

ヤマタノオロチは、スサノオノミコトに退治された後、伊吹山に逃れて山の神「伊吹大明神」として祀られるとあるのです。酒吞童子はその伊吹大明神の子とされているのです。

妖怪として退治されたはずのヤマタノオロチが山の神になっているというのは、とても面白い展開です。

神話や伝承というのは、どこまでが現実の話なのかはわかりません。そういう意味では、ヤマタノオロチの本当の正体はわからないでしょう。

ただ、人が怨念によって妖怪になる話があるように、妖怪と神様の繋がりもどう転ぶかわからないことがここからわかります。