アニメだけじゃない!昔から日本にいた妖怪の伝説を紹介!

顔がない妖怪のっぺらぼうの正体は本当にむじなのいたずら?

言わずと知れた、顔に目鼻口がない有名な妖怪です。全国各地で目撃情報があるというよりは、どちらかと言えば特定地域での話が有名です。

江戸時代にはすでにいくつかの妖怪絵巻があったのですが、そこにのっぺらぼうも描かれています。とはいえ、その頃からのっぺらぼうという呼び方はしていません。

顔に白粉(おしろい)を「ぬっぺり(=平坦に、一面に)」と厚く塗って化粧をした様子と擬人化を表す「坊」の言葉を足して誕生したとされています。

その為、昔はぬっぺっぽうと呼ばれて、「ぬっぺっぽう」→「ぬっぺら坊」→「ぬっぺらぼう」→「のっぺらぽん」と、呼び方が変わったとも言われています。

元々、顔に目鼻がなかったわけではありません。ぬっぺりとは、顔にしまりがない、間が抜けているという意味もあるのですが、そのしまりのない顔の妖怪でした。(だからこそ、ぬっぺっぽうと呼ばれていました。)

その為、昔の「ぬっぺっぽう」の絵にはかなり垂れ下がった目鼻口が描かれていたりします。しかも、目鼻口が垂れているだけでなく、大きな顔に直接手足が生えたような絵柄になっています。人によっては可愛いと思うかもしれません。

ぬっぺっぽうにしろ、のっぺらぼうにしろ、人間に対しては驚かすだけで大きな危害を与えてはいません。絵柄同様、あまり怖いという妖怪ではないと言えます。(それでも驚かされるので、本当に怖くないわけではないでしょうが。)

有名なのは、小泉八雲の「怪談」の中の「狢(むじな)」の話です。「のっぺらぼう」という表記ではなく「むじな」なのですが、ここに出てくる妖怪はのっぺらぼうを指しています。

ストーリーの説明は省きますが、男がのっぺらぼうに驚かされる話です。しかも1度ではなく、2度驚かされます。男が夜の道中で1度驚かされて逃げたのですが、逃げた先にいた人物もまた実はのっぺらぼうだった、という展開です。

2度も同じ人を驚かすのを「再度の怪」と言うそうです。このパターンは中国の昔の怪異の話からの影響もあるようです。

落語にものっぺらぼうの話はあるのですが、驚かされるのは、やはり1回では終わりません。永遠に続くような展開にもなっています。

小泉八雲の怪談にもあった、「むじな」ですが、のっぺらぼうの正体が「むじな」と言われているからきているものです。よくきつねやたぬきは化けると言う話が逸話にも出てくるのですが、むじなだとピンとこない人も多いかもしれません。

むじなとは、「あなぐま」のことです。そう言われればわかるでしょう。地域によってはたぬきやハクビシンを指すこともあるそうです。

そして、むじなはきつねやたぬきと同様に、民話などでも人間を化かす生き物として登場します。古くは「日本書紀」にも登場します。むじなも昔から人間を化かすということが言われていたのでしょう。

人間の騙し方も、馬糞をまんじゅうに見せたり肥溜めを風呂に見せたり、一見ほっこりするようないたずらが多いようですが(騙された方はたまりませんが)、中には凶悪なむじなもいます。

ことわざに「同じ穴のむじな」という言葉があるのですが、これも同じ「むじな」です。迷信と捉えていいでしょうが、同じく人間を化かすたぬきと同じ穴で生活する習性もあると考えられて言葉ができているとのことです。

むじなが本当に化けられるか否かは兎も角、むじなということで、のっぺらぼうはある意味実在している妖怪と言えるのかもしれません。