どう違う?妖怪や幽霊化け物そしてお化けとの違いについて
よく判断に困るのが、起きた不思議な現象が幽霊によるものか、妖怪によるものか、わからない事象があることです。
そもそも幽霊や妖怪、そしてお化けという人もいますが、それらの違いとは何なのでしょうか。一つずつ考えてみます。
まず、元々人だったものが亡くなって、その人としての属性を残したまま出てくるのが幽霊です。
その多くは、死ぬ前の状況だったり死んだ理由、死に方によって、自身の死を受け入れられず無念の念を持っていることが多いようです。有名なのは、少し古典ですが四谷怪談や番長皿屋敷の女性達がそうです。
動物の霊も幽霊と言う人もいますが、これを幽霊と表現しないと言う人もます。動物霊については難しいかもしれませんが、幽霊の判断はわりとシンプルかもしれません。
妖怪は、人間の理解を超えた不思議な存在や現象のこと。基本的には特定の場所から出現し、誰に対しても驚かしたりします。
有名なのは、かっぱや鬼、ろくろ首や一反木綿など、いろいろあります。姿は人に似たものから動物に似たもの、器物の形をしているものがあります。
妖怪は古くは神話の時代から出現しているものもあり、時代により大きく世間に広まったりしますが、現代では漫画やアニメにはなるものの、実際に存在すると信じる人は少なくなりました。
信じる信じないはさておき、妖怪も元々は人間だったり動物だったりの過去を持っていることがあります。もちろん最初から妖怪という場合もあります。元が何であれ、もはや人の属性からはみ出た存在だと言えます。
例えば、「宇治の橋姫」は、丑の刻参りの原型とも言われており、嫉妬深い女が鬼になった一つの例としてあげられます。(ただし、橋姫の伝説は他の地域にもあり、その橋ごとに違う伝承があります。)
他に御伽草子「磯崎」でも、女の嫉妬により鬼になった話として伝わっています。
磯崎という侍が新しい女を連れてきたのに、嫉妬した本妻がその新しい女を妬み、鬼の面をつけて女の所に乱入し、殺してしまいます。その後、本妻が鬼の面を取ろうとするのですが、面が肌に吸いつき離れなくなって本当の鬼になってしまった、と言う話です。
不思議な話や怪異の中で器物に魂が宿り、妖怪になるという例もあります。元々日本には、モノにも魂が宿る信仰があります。長い年月を経て魂を得て、妖怪になることもあるのです。
百鬼夜行の絵には、そのような妖怪がたくさん描かれています。臼だったり碁盤だったり琵琶や琴だったり、いろいろあります。これらは後々「付喪神」と呼ばれるようになります。
ただ、「付喪神」という表現は、長い歴史の中でも必ずその表現を使うわけではなく、使わずにかかしの化け物、などの表現をされることもあります。どちらにしても、妖怪にはなります。
少し話がそれてしまうかもしれませんが、妖怪と神様の違いについて、区別しづらいことがあります。というのは、例えばヤマタノオロチのように、元は神様として祀られていたのですが(人間にとって良い神様とは言えませんが)、妖怪として退治されることもあるからです。
また、カッパも土地によっては、神様として祀られていることがあります。時に妖怪と神様は変化することがあるのです。
お化け、または化け物と言いますが、これらの言葉は総称みたいなイメージでいいかと思います。幽霊をお化けと言う人もいますし、妖怪を化け物として扱うこともあります。これも私たちはシンプルに考えていいと思います。
妖怪や幽霊について研究している人からすれば異論はあるかもしれませんが、私たちはあまり難しく考えなくてもいいと思います。