アニメだけじゃない!昔から日本にいた妖怪の伝説を紹介!

ろくろ首は実は首が伸びるだけと首が抜ける2つのタイプがある!

誰もが知っている妖怪のひとつに、ろくろ首があります。

ろくろ首の語源は、伸びた首が井戸の轆轤(ろくろ…重い物を引き上げる滑車のこと)に似ていることから言われています。他にも、陶器を作る時に使うろくろ(陶器を作る時の感触が似ている)、傘のろくろ(開閉時に使う仕掛け)からきているとも言われています。ここから轆轤首と書くこともあります。

他に飛頭蛮と書く場合もあるのですが、こちらは中国の方からきているろくろ首の話が元と考えられます。

というのは、中国南部の「飛頭蛮」「飛首」を代表に、インドネシアなどでは「ポンティ・アナ」、マレーシアでは「ペランガラン」「ペナンガル」などと呼ばれる妖怪なるものが伝わっているからです。

これらは内臓をぶら下げて体から首が抜け出る妖怪を指していて、東南アジアでは広く知られているそうです。夜に首が抜けて飛行すると言う伝承になっています。

それが室町時代から安土桃山時代の頃、伝わってきたようです。江戸時代には鎖国に入るので、これが日本独自の妖怪「轆轤首」へと変貌していったと考えられます。

その飛頭蛮は、中国南部からベトナムの方にそのような民族がいると言われました。

場所は若干違うかもしれませんが、確かにタイやミャンマーの方に今も首長族という種族はいるので、もしかしたら関係があるかもしれません。

その伝承に関してですが、うなじに赤い痕があり、夜になると耳を翼にして飛ぶと言われています。

日本のろくろ首の伝承も首が伸びるという話だけでなく、実は首が飛ぶ話が多くあるのです。その多くは夜に寝ると女の首が抜け出て飛び、朝には戻ってくるというもの。昼間は何も変わらず正常なのだが、首の回りには筋があった、と言う話が多くあります。

少し面白いのは、伝承ではそこまで勇気のあるような話はほとんどありませんが、首が抜け飛んでいる間に体の方を移動させると元に戻れないと言う点です。

対して、首がただ伸びるだけのろくろ首もあります。アニメなどの影響もあり、こちらの方が一般的に広がっていると言えます。

こちらも基本的に夜寝てからとなっています。首が伸びて行燈の油を舐めるとよくあります。かもいを枕にして首が寝ているなんて言うのもありました。首を伸ばして獲物の精気を吸い取ってしまうという、少し怖い話もあります。

ろくろ首はそのほとんどが女性であり、男性のろくろ首の話は0ではないのですが、めったに出てきません。また、女性でも遊女の例も多く、遊女の場合の油舐めは、商売がはやらない為に油を無駄に使っている例えとも言われています。

ろくろ首の正体としてよくあがるのが、心霊現象、病気(頭痛からくる幻覚など)があります。心霊現象の場合、妖怪との差はいかがなものなのかは不明ですが…。

伝承や逸話の多いろくろ首ですが、実は江戸時代には見世物として人気を博したこともありました。となると、実在したのか、と疑問に思うかもしれませんが、その多くは奇術であったと考えられます。今も手品で首と胴体が離れる技もあるので、想像しやすいでしょう。明治時代の雑誌にもネタばらしがあったようなので、見世物に関してはいわゆる偽物だったことは間違いないと言えそうです。

本物のろくろ首がいたかどうかは、他の妖怪と合わせて簡単に実証できるものではないでしょうが、本物もいたのではないかと思いたいです。あなたの隣に首に筋傷のある人はいませんか。