アニメだけじゃない!昔から日本にいた妖怪の伝説を紹介!

船を沈めるという恐ろしい海坊主は坊主頭の大きな妖怪!

妖怪は村や町の中だけでなく、海にも出ます。海坊主です。海に出るので、当然沿岸部で目撃されたり襲われたりという話がほとんどです。

そして、この海坊主も全国的に出没します。その為、「海法師」や「海入道」と呼ばれることもあります。

人のような姿での目撃が多いのですが、サイズとしては数メートルから30メートル以上もある大きい妖怪と言えます。名前からわかるように坊主頭が多いのですが、中には長髪を振り乱して現れる海坊主もいます。

真っ黒で上半身を海から出し、全身まではわからないことが多いです。目鼻口はなかったりくちばしがあったりといろいろです。魚のひれのようなものが見受けられる者もいます。

海に出るのですから当然漁師に恐れられているのは全国共通ですが、海坊主の漁師の襲い方は地域によって違います。

大阪では、海坊主が海から上がると、海へ帰るまでの3日ほどは地上にいるために子どもは外へ出してはいけないとされていました。

月末に現れる為に月末は船を出してはいけないと、今の三重の辺りでは言われていました。今と歴の数え方が違う月を使った太陰暦だったのですが、どうやらそれは大抵新月で、それが関係していたとの見方もあります。

確かに夜の漁はそもそも危険ですが、月明かりがなければ危険度は増すので、夜の漁の事故を回避する目的で言われていたのかもしれません。

言い付けを守らず男が月末に船を出した時に現れた海坊主は、「恐ろしいか」と聞いてきたそうです。しかし、男が怯まずに「世を渡ることほど怖いことはない」と答えると、諦めたのか海に消えたという話があります。逆に「恐ろしい」と答えても「月末に船を出すものではない」と言って消えるとも言われています。

中には船を襲う海坊主もいて、海坊主が柄杓を欲しがってもそのまま渡してはいけないという話があります。そのまま柄杓を渡すとその柄杓で海水を船に入れて船を沈ませてしまうので、海坊主に求められたら、柄杓の底に穴を開けてから渡すようにする必要があるそうです。

宮城県で出る海坊主は、美女に化けることができたそうです。そして人間と泳ぎを競ったとう話もあります。

海坊主は地域によってただ出てきて脅すだけの者もいますが、多くの逸話にあるように船を沈められるのは漁師にとってはかなり恐怖でしょう。しかも、海坊主の出現にあわせて海が荒れることも多いようで、そんな海に投げ出されたら命の保障はありません。

もちろん地域によって違いはあるのですが、先の底の開いた柄杓ではないですが、対策も伝えられていて、面白いのは煙草の煙が弱点だと言われていることです。

ちなみに海のない県ならば海坊主は無縁かと思えばそうでもなく、長野県では川に住む海坊主がいるそうです。水上に上半身を出してきます。

多くの場合、海坊主と遭遇するのは凶相なのですが、珍しく愛媛県では、海坊主を見ると長寿になるという話もあります。

そして驚くことに、妖怪と言えば大抵昔の逸話や伝承で終わるのですが、海坊主は近年でも目撃情報があります。

まだ最近と言える目撃情報としては、昭和46年に宮城県の漁船が、ニュージーランドの方で巨大な海の謎の生物と遭遇したと言う記録もあります。

もちろん魚群や巨大な魚の見間違い、自然現象などによる勘違いなどの意見もありますが、他の妖怪同様、海坊主もいるのかもしれません。