アニメだけじゃない!昔から日本にいた妖怪の伝説を紹介!

アニメでは良い者として活躍する一反木綿も実は怖い妖怪の一つ!

妖怪は、時としてアニメや漫画などでヒーローのような扱いをされます。キャラクター化していて、確かに可愛いかったり格好良かったりします。

しかし、それはあくまで画面の向こうでのことです。と言うのは、正義の味方のような妖怪でも、実はそうではないことがあります。

その代表として「一反木綿」があります。妖怪アニメでは、主人公の味方で飛行部隊として活躍しています。鳥取県境港市では、妖怪人気投票で1位を取ったこともあります。それだけ有名で、また、人気のある妖怪です。

しかし、実際の一反木綿はそのイメージとは裏腹に、怖い妖怪なのです。

元々は、九州の鹿児島県は今でいう肝付町に伝わる妖怪です。ロケット打ち上げ施設のある町として有名です。

そこにある権現山が一反木綿のよく出る山と言われています。同じ肝付町にある(少し離れてはいるのですが)、やぶさめで有名な四十九所神社も一反木綿の目撃情報が多くあります。

その為、この町の子ども達は、遅くまで遊んでいると一反木綿に襲われると脅し文句として育てられているそうです。(今も通用するのかは、わかりませんが。)

その一反木綿の一反とは、昔の布の大きさを示す単位になり、大人一人分ほどの量になります。標準として幅37cm、長さ約12mほどになります。一反木綿の妖怪解説をしている内容としては、約一反ほど(幅約30cm、長さ約10.6m)との説明が多いようです。

子どもを家に帰らせる脅しになるだけあって、アニメとは違って恐ろしい妖怪です。夕暮れや夜間にヒラヒラと現れて人を襲う妖怪なのです。しかも、首に巻き付き顔を覆ったりして窒息させることもあるそうです。確かに10m以上の布が巻きついたら、なかなか取れません。

反して、飛んで消えてしまった、子どもの回りを飛んで回って遊んでいたという逸話もあり、必ずしも危険と言えない部分もあります。

どちらにしても、空を飛んでいたり飛んでやってくるようですが、その正体は、長い年月を経て道具などに魂が宿り、付喪神(つくもがみ)になってしまった、という妖怪です。

この地域では、そもそも土葬の際に木綿の旗を立てて弔う風習があるそうなのですが、その時にヒラヒラと舞った旗が、一反木綿になったと言われています。

他にも、合戦で負けた落ち武者をかくまう優しい土地柄であったらしく、その亡くなった武士を弔う為に墓に立てた木綿の白い旗に亡くなった武士の無念が宿り、一反木綿を作ったともあります。

対象人物は違えど、亡くなった人への弔いで立てた白い旗が、一旦木綿のルーツと言えそうです。

では、かなり古い妖怪かと言えば、そうとも言えないようです。と言うのは、百鬼夜行絵巻、または百鬼夜行図では、「一反木綿」という表記の妖怪はおらず、「シロノヌ」や「オオヌノ」という形で表されています。

絵としては、何者かが白い大きな布を被ったような様子で足や手は見えるのですが、中にいる者の正体は、絵ではしっかりとはわかりません。百鬼夜行図の研究内容での説明でも、頭から白い布をかぶった化け物がいる旨しかありません。

ただ、その白い布の妖怪が(かぶった化け物まではわかりませんが)一反木綿の元と言う説もあります。

どのような念により一反木綿になったのかまではわかりませんが、それでも一反木綿の目撃情報は現代でもあり、今は九州だけでなく、兵庫県や静岡県、東京など全国に広まっています。中には怪異ドラマの撮影時に有名な俳優が目撃したなんて話もあります。

アニメのように助けてくれればいいのですが、襲われないように気をつけたいものです。