アニメだけじゃない!昔から日本にいた妖怪の伝説を紹介!

お天気雨のことだけではない?実際に見た人もある狐の嫁入り

太陽は出ているのに雨が降る。いわゆる「お天気雨」ですが、このお天気雨のことを「狐の嫁入り」と言い、誰でも聞いたことがあるはずです。

狐の嫁入りは全国的に知られているのですが、地域によっては「狐の嫁取り」、「狐の祝言」など、呼び方が違うこともあります。

しかし何故、晴れなのに雨が降る状況を「狐の嫁入り」と言うのか、説明できる人は少ないはずです。言葉を調べても「日照り雨」や「日が出ているのに雨が降っていること」なんて説明ばかりでしょう。

そして大抵の場合、わからないまま「そう言うから…。」なんて、漠然としながら言葉を使っているはずです。

そもそも狐の嫁入りは、直接妖怪の仕業というよりも化けることができる狐の仕業という怪異と考えられる、不思議な出来事をも指しています。

昔、群馬で商人が仲間3人と夕暮れに歩いていると、はるか向こうから数多くの提灯がやってくるのが見えました。大名かと思って、高い所に登って(隠れて?)見ていると、提灯には紋所はなく、どうやら嫁入りの行列のようでした。その行列は、田畑の向こうの林へ消えて行きました。普通の大名行列とは明らかに違ったのです。

また、江戸時代、本多家の屋敷に婚礼があるという噂が立ちました。確かに夕暮れから婚礼家具を運ぶ様子があり、夜には提灯をつけた花嫁の乗り物と守護する者たちが門の中へと入って行きました。

しかし、誰が結婚したのか、回りの人間も誰もわからなかったので聞いてみたのですが、当の本多家の者は誰もそんな出来事を知りませんでした。実際は、嫁入りはなかったのです。

これらを狐の嫁入りと人々は呼んでいます。ここでわかるように、結婚式場は昔ありませんでした。その為、結婚する場合は、お嫁さんが嫁ぎ先へ提灯を携えて行列をなして行っていました。

元々、昔に行われていた嫁入り行列は、大抵夕方から夜にかけて祝言が行われるのですが、昔は農閑期になる冬場に行われることが多く、日が短い為、道中に提灯は欠かせないものでした。

狐が尾を打ちあって火を出す「狐火」という怪異があるのですが、狐が出す怪火と嫁入り行列の提灯の火が似ていることから、狐火が連なって現れるのを狐の嫁入りがあったと言います。そして、実際に狐の嫁入り行列を見たという目撃情報もあります。

それと天気雨の繋がりはわかりにくいのですが、いくつかの説があります。

晴れているのに雨というおかしな現象の為、狐に化かされているように感じて狐の嫁入りと言う、または、実際に行われている狐の嫁入り行列が人目につかないように、狐が雨を降らせているという説もあります。

悲しい伝承として残っている話もあります。

それは、戦国時代にある女性が結婚を約束した人がいたにもかかわらず、病死してしまいました。その無念が狐に乗り移った為、狐の嫁入り行列が目撃されるようになったという話。

別の伝承もあります。日照りに困った村が、雨乞の為に狐を生贄として捕まえることにしました。

人間に化けることのできる女狐を村の青年が嫁に迎えると騙して捕まえることにしたのですが、心を交わせるようになった青年はその女狐を逃がそうとします。しかし、村の魂胆を知っても女狐は、あえて逃げずに男と村の為に身を捧げます。

雨乞いの最中に天気だったのにも関わらず雨が降ったのは、その女狐の涙のようだ、という悲しい話です。

天気雨には隠れた逸話や伝承がいくつもあるのは、それだけ狐と人間が密接であることの証拠かもしれません。

新潟では「狐の嫁入り屋敷」という施設があるようで、狐の化粧体験や狐のお面づくり体験もできるようです。行ってみると面白いかもしれません。