アニメだけじゃない!昔から日本にいた妖怪の伝説を紹介!

いい者?悪い者?全国に点在する鬼とは一体どういう妖怪?

一般的な鬼のイメージとは、一本ないし二本の角が頭に生え、口には尖った牙、指には鋭い爪があります。身体は赤や青色をしている場合が多く、上半身は裸で腰布やふんどしを穿いています。大きな棘のついた金棒を持っています。それ以外にも黒色の鬼もいたり、人間に化けることが出来る鬼もいたようです。

人間を襲い、山に住んでいる印象も強くあります。地獄で亡者どもを襲っていたり、責めている獄卒も鬼の姿であらわしていることが多いです。

節分では豆を投げて鬼を追い払うことからもわかるように、全国的にも強いが大抵は主人公や正義の味方に退治される悪者として扱われています。退治される鬼と言えば、桃太郎の話が一番有名と言えるでしょう。他にも、平安時代に源頼光らに退治された酒吞童子がいます。

確かに多くの逸話や昔話を見ると、ほとんどの鬼が人間を襲ったり、少し残酷な話になると人間を食べることさえします。

しかし、何かと悪者扱いの鬼ですが、まったく逆の良い鬼だったり神として祀られていた鬼も実はいます。代表的なのが、「泣いた赤おに」でしょうか。これは童話ですが、例えば、鳥取県や青森県には実際に鬼を神として祀っている地域もあります。善鬼が出てくる奥三河の「花祭り」というのもあります。

鬼の正体もいろいろ説があります。まず鬼の伝説がある場所が鉱山採掘をはじめとする金属製品の産地が多いことから、金工師だったという説です。

金工師とは、金属に関する仕事に関わっていた人達です。そこには、昔の朝廷と鉱山採掘の争いという時代背景が隠れています。朝廷の敵とみなされていた人達は「鬼」という扱いだったのでしょう。

また、白人だという説もあります。見た目からして体格や色素の違いから、日本人と大きく特徴が違うため、そう思われても仕方がないかもしれません。バイキング説や明治時代には、ロシア人説も出たようです。

そもそも「おに」は「おぬ」の言葉から変わってきていて、元は「姿が見えない、この世のものではない」者の意味があるそうです。また平安時代には「鬼」は「もの」と読まれていました。その「もの」も邪悪な意味合いがあります。平安時代には「百鬼夜行」の噂が広まったことからも、鬼や怨霊を恐れているのがわかります。

それこそ、人間が鬼になってしまった例もいくつもあります。例えば「平家物語」や「御伽草子」では、恋の恨みの為に鬼になってしまった女の話があります。

良い鬼が全くいなかったわけではないのですが、やはり人々に広く知れ渡っているのは、人に害をなしたり恐れを抱かせる鬼が多いようです。

「鬼門(きもん)」という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。鬼門は丑寅(うしとら)、今で言うと北東の方角にあたります。元は中国から入った思想ですが、ここで日本独自に思想が変化します。陰陽道では鬼が出入りする方角と言われ、今でも家相で玄関や水回りを避ける傾向があります。

今は、子どものしつけ用に鬼から電話が掛かってくるようなアプリもあります。なかなか言うことを聞かない子も鬼からの電話にはさすがに怖いのか、言うことを聞くようです。

鬼の存在を信じる信じないは人それぞれでしょうが、節分を見てもわかるように鬼は生活に密着した歴史が出来あがっています。それだけ鬼の怖いイメージは根強いと言えます。

いずれにせよ鬼には正体を含め多くの伝説や逸話があり、一言で語ることはできません。ここで触れていないこともたくさんあります。興味のある方は、京都に日本の鬼の交流博物館があるそうなので行ってみるのも面白いかもしれません。