アニメだけじゃない!昔から日本にいた妖怪の伝説を紹介!

実は奇病が原因?妖怪人面瘡(そう)の正体と人面犬との違いとは

妖怪の中に変わったものがあります。「人面瘡(じんめんそう)」です。これは、体の一部に人の顔ができるというものです。しかも、見た目だけでなく、話をしたり物を食べることもできるそうです。そして、切っても切ってもまた出てくるといいます。

ある男が妻を病で亡くした後、新しい妻を娶って溺愛しました。しかしある日、その妻が病に倒れ、日に日に弱っていきました。心配した男が妻の様子を伺うと、一人しかいないはずなのに話し声が聞こえました。

気になった男が妻を問いただすと妻は太股を見せてくれたのですが、そこにはおできができていました。しかも、そのおできが亡き妻の顔をしていて、毎日恨みごとを呟くと言う話です。

ここから考えると人面瘡は、人の恨みによって出てくるように思われます。しかし、人の恨みとは関係なしに出てくることもあるようです。

ある農夫にも人面瘡が左足に出来たのですが、これが酒を飲むと赤くなり、食べ物も食べたそうです。そして、食べ物をあげないと酷い痛みに襲われるようになり、農夫は弱っていきました。

そこに修行者が訪れ治してくれるというので、男は田畑を売って金を作り、その金で修行者はあらゆる薬を買ってその人面瘡に飲ませました。すると、貝母(ばいも)という薬は嫌がった為、無理矢理飲ませたらその人面瘡は治ったと言います。

この話で薬が効くことから、病気の一種とも言えます。

実際、幕末の蘭法医の分析によると、腫れ物の傷口の開いた状態が人間の口に、皺などが目鼻に見え、痙攣する患部が口が動いているように見えるのだろうという見解になりました。

「象皮病」であるという説もあります。この病気は、皮膚が象の皮のように厚く硬くなります。また硬いだけでなく、大きく腫れた状態になっていたりもします。

これは、人を宿主にする寄生虫によって起こる病気の影響の一つです。病気そのものが症状を起こすのではなく、どちらかと言えば後遺症として出てきます。

今の日本ではもはやない病気ですが(海外ではまだあります。)、江戸時代には流行もし、葛飾北斎の浮世絵にも出てきます。西郷隆盛も晩年、この象皮病にかかったと言われています。

対して、人の顔という妖怪で話題になったものに、まだ最近と言えるかもしれませんが人面犬がいます。

こちらは都市伝説的に広がったものですが、実は江戸時代にも人面犬の存在が出てきます。見世物もあったほどです。

世界で見ても、エジプトのスフィンクスやインドネシアの伝説にあるマンティコア(人の顔をした獅子)をはじめ、人の顔をした妖怪や化け物の伝説や逸話はたくさんあります。

これらは、実在したかどうかは別にして、明らかに妖怪の類と言えます。

人面瘡の場合は、病気が元の妖怪と言えます。妖怪というよりも奇病とした方がいいかもしれません。

その為、今も絶対に存在しないとは言い切れない部分があります。確かに病気によってできた腫れ物が人の顔のように見えることはありますし、想像を絶するほどに腫れ物が大きくなることもあります。インターネットで検索すると、見るに堪えないような症状の人面瘡と思われる画像も実際に出てきます。

もちろん今は医療が発達しているために日本でそのような奇病を耳にすることはないのですが、世界ではまだまだ最先端の医療が行き届いていない地域もあります。そんなところに人面瘡は潜んでいるかもしれません。